HETEROCHROMIA
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戯言.

恐ろしく小さな男

夜に飛び込んだ

ひとしきりに柔い肌を味わい

朝が来て彼女を抱いた

夢うつろなまま一日が始まる

彼女の声が聞こえる

さっきまで一緒だったのに

角度が付けばいい女に見える

所詮

彼女の時間を間借りしているだけ

ペンと紙を持ち

DVDとタンクトップ

あとはウィスキーを置いていく

彼女はテレビ局の方へ曲がり

僕は反対を向く

すぐに煙草を咥える

ライターがない

昨日気づいたことを思い出す

裏返しのシャツを着直して

工事現場のジジィ

日陰でオブジェと化す

がんばれ

誰かに小さく呟く

誰も見ていない

2割引のカレーパン

バームクーヘンを食べていた彼女

嫌いじゃないブスとスレ違う

あくまで嫌いじゃない

ライオネス飛鳥似の美女

飲み干せないコーヒー

投影する虚しい今という過去

ただ食べるだけ

爽やかな朝に引きこもる

また酔っ払うだけ

心配になる量のウィスキー

煙草は大丈夫

ふと独り言

至急アドルフに告ぐ 学のなさを補え

小難しい本を枕元に並べよう

アマゾンで買う

届くころには忘れている

それで丁度よい

廉価版がよく似合う

端数の80円を切り捨てる

髭を剃って起こられるなんて聞いたことがない

コンビニの店員と道路の誘導員には気に入られる

そこに雑な人間にゲンナリする

名前は誰もない

目が覚める

無機質と素面

  レイトショーかディナーを嗜むか

いつかあった女

いつかやった女

男連れのカウンターで靴を脱ぎ裸足で飯を食ういい女

昔は朝に方ひざ立ちでトーストを食べていたいい女

ともに誰かを連れ、胃に飯をぶち込む

消化されるころ横たわる

雑味がなければ不用品でも一等だ

深夜に爪を噛む

また爪切りを使わない

ちゃんと体を拭かない

ブラシを使わない

もう怒ることはない

そんなことがあったのか

誰かにたくさん話をした

記憶違いの口述の女

この隣にいる女も

あの隣にいる男も

いづれかにやった誰か

忘れてるのが先か

思い出すのが先か

どっちみち

当たり前となり

初動の感覚はない

どっちみち

知ったこと

酒を飲み

全てを忘れ

柔らかな肌でただ

朝を

迎える