HETEROCHROMIA
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チンピラの夢.

誰が朝と呼んだ

公園でイカリングを食べていた

ビールも飲んでいた

ゾルビトールに飽きて、響きからグァーガムについて調べてた

要するにヒマな訳で一人の人間なんてそんなもので

地面には希望が8つ灰となっている

向かいには少女が座っていて、顔は半分以上がスケッチブックで覆われている

顔を見なくとも、こんなにカウチンセーターが似合う娘がいるなんて

レペットの偽物を履いている

彼女の絵を想像す

求められたときの機動力、実力、社会性

チンピラとオタクは相性がいい

ある程度誰にも屈せず、いいえが言える

絶対的な力には滅法弱い

臓粘安定剤を学んだばかりの輩がオタクに近寄る

なぜにオタクかって・・・

まだ見ぬ顔の物はオタクである

その未知に畏怖すべし

それはまた気晴らしに、好物である

イカリングを持ちながら少女の後ろに廻る

言うことは決まってる

「いい絵だな」

男は姿勢をただし、その絵を食い入るように見つめる

イカリングがおつまみになった

少女は構わず筆を休めない

男は絵に見せられ、芸術という言葉が頭をよぎった

少女はただ初めてのことでどうしていいのかわからない

均衡が生まれる

二人はそれに気づかず、ただ沈黙が続く

二人はどっちも臆病で寂しがりやだ

それを知らず誰かを傷つける

明日も男は酒を飲みに、少女は絵を描きに

そのために小さな公園は存在している