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ブスとババァと乳酸と.
昨日
疎遠の親父が死のうと
遠くの
ペットの墓を忘れようとも
ただ黙って
今日も
帰りにビールを1本買う
スーパーの店員に愛想が悪いなんて
世の中を馬鹿にしているようで
笑顔で物を受け取る
自然と
皆が
目を見てくれるようになった
余計な言葉
余計な考え
啓蒙すべきことなんざ
たかが
評価は他人が決める
私は
平々凡々と
ビールを飲む
親父が死んだとて
いつものアパートの一室に戻り
ソファーに横たわる
蜂が一匹
部屋に迷い込んでいる
ミツバチ
可愛い奴だ
窓を開ける
出て行っても
出て行かなくても
今は
いい
ならば
いっそ
仲間を連れておいで
養蜂所のように
蜂に包まれ
何者かも分からなくなればいい
ウトウトしていると
男が来た
心配がメンドイ
けれども
それは
私が望んでいたことでもあり
その音を聞いていると
蜂はもういなくなっていることに気がついた
男の膝に頭を乗せる
この瞬間
いつも人生が見える
これだけが人生
なんてちっぽけで
なんて空虚で
誰かには愛らしい
そう思うと
私は
男にキスをして抱かれる
男は「よく喋るね」という
私は抱かれると喋る女
「嫌いじゃない」
それくらいが丁度いい
嘘じゃないから
嘘は疲れるから
本当にしなくてはならないから
だから
笑って
黙っている
抱かれれば
喋ればいいさ