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戯言.
泣く女は嫌いだ。そんな男が酒場で自分へ興味を示している女に言う。
「俺と知り合ったなら、きっとなく」
言葉通りだ。男と出逢った女はそうだった。泣いて、泣いて、泣かなくなって…そうして消えていく。
けれども、この女は一度も泣いたりなんてしなかった。そうしていまだに目の前にいる。
所作には報酬があってもいい。それ相応のことならば。
だからこそ、酒を断って男はプロポーズした。
女ははじめて男の前で涙した。
与えてくれる人間ならばそんな価値観なんて思いのほか麗らかに変わる。