HETEROCHROMIA
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戯言.

暴力に偏りを持たず

内心、暴力と女がある人間だ

乱暴で、誰にでも手をあげては

女は恐怖に泣く

それでも

夜には

男の腕の中で寝た

偏った見方

男とはそうである

それで構わない

 

だが

実際はどうだ

夜の公園で

女友達二人と噴水の脇に腰を掛け、ビールを飲む

軟弱で軟派でなめられて酔っ払う

一人の女がそれを見て後ろから腰に手を回し

「可愛いね」

何て耳元で囁く

その髪の毛を掴んだまま

怒号を浴びせ

公園の隅に連れて行き

泣かす

10コも違う娘

なんて

容易い

そうして

彼女に愛されることも

暴力には対比的な美しさもある

だけど

男は

背中越しに彼女の胸の感触に少し欲情しただけで

喉を過ぎるビールと共に消えていく

 

忘却が野暮たくなり

己は都度都度

人にあげることにした

映画や小説のように

物語の解釈は読み手に委ねる

パラドクスの範疇で

曇りガラスの向こうから

誰かが笑っている

男でも女でもない誰か

人間だ

ガラスを割り

手をあげる

悲痛な声はいまのところ聞こえない